「維新軍、先鋒、小林邦昭。次鋒、寺西勇。中堅、谷津嘉章。副将、アニマル浜口。大将、長州力。・・・新日正規軍・・・」読み上げる田中リングアナの、次の一言で場内は 大きくどよめいた・・・

革命戦士・長州 力・3

「先鋒、藤波辰巳!」まさか、藤波を先鋒にもってくるとは?!これには、観客は勿論、維新軍も驚きの表情を浮かべた。剣が峰に立たされた総帥アントニオ猪木が放った秘策に長州の懐刀、アニマル浜口が一瞬動揺したかの様な表情をみせた・・・。

先鋒戦 藤波辰巳小林邦昭
異様な興奮とざわめきの中、一大決戦のゴングが鳴り響く・・・。序盤から果敢に藤波を攻める小林。腕ひしぎ逆十字、フィッシャーマンズスープレックスと持てる技全てを出し切るも、キャリア、実力共に勝る藤波が、完璧なジャーマンを決めて、小林を退けた。
先鋒 藤波辰巳次鋒 寺西勇
寺西は、序盤から負傷している藤波の左手を徹底的に狙った。執拗なまでの左手攻撃の猛攻を耐え抜いた藤波は執念の逆サソリで寺西を沈めた。正規軍の2連勝。正規軍の放った奇策はズバリ当たった。
先鋒 藤波辰巳中堅 谷津嘉章
3連勝を狙う藤波は序盤からラッシュをかける、もう後が無い維新軍の中堅谷津も意地の反撃、寺西の後に続けとばかりに藤波の左手を攻める。エプロン際での攻防で藤波の片足がトップロープに絡まり、藤波はエプロンで宙吊り状態になってしまう。藤波無念のエプロンカウントアウト。
中堅 谷津嘉章次鋒 高田伸彦
ベテラン坂口に変わって大抜擢された正規軍の若武者高田伸彦。高田はブレンバスター、ミサイルキック、ツームストンと矢継ぎ早に大技を繰り出し、谷津をあわやと言う所まで追い詰めるも谷津の底力の前に惜敗。維新軍が流れを押し戻す。
中堅 谷津嘉章中堅 木村健吾
スタミナの消耗激しい谷津は序盤に勝負をかけるも、スタミナ十分の木村は得意のレックラリアートを鮮やかに決め、食い下がる谷津を切って捨てた。
中堅 木村健吾副将 アニマル浜口
気合十分で望んだ木村であったが、浜口の老練な試合運びに翻弄され、自分のペースをつかめないまま、最後はダイビングネックブりーカーで決められてしまう。
副将 アニマル浜口副将 藤原喜明
ファイナルに向け少しでも長州の援護をしておきたい浜口は、形振り構わぬラフ殺法にでる。噛み付き攻撃を受け鮮血を迸らせながらも藤原は巧みに浜口を場外に誘い出した。7分32秒、両者リングアウト。マットを叩いて悔しがる浜口。藤原は「俺の役目はお前と心中する事だ」と言わんばかりにニヤリと笑った。 

>大将戦<

アントニオ猪木長州 力

パワーホールと共に割れんばかりの「長州コール」。一端の静寂の後、炎のファイターと「猪木コール」の大合唱。いよいよ時局は終局へ向け、それぞれの役者を同じ舞台の上に立たせた・・・・。
時代の壁を乗り越えようとする者と、それをさせんと拒む者の激突は、まさにストロングスタイルそのもの攻防であった。果敢に攻める長州に対し、それを受け流す猪木。それでも長州は攻撃の手を緩める事無く攻め続ける。バックドロップ、サソリ固め、そして長州砲台のアームストロング砲、リキラリアットを繰り出すも、猪木の壁が切り崩せない。一瞬見せた長州の焦りの表情を猪木は見逃さなかった。ナックルパート一閃から猪木が試合の流れを変えた!必殺の延髄斬り、トップロープからダビングニードロップ。伝家の宝刀卍固め。それを強引に振りほどく長州。会場はもはや猪木も長州もない、戦う二人に大声援を送っていた・・・。卍固め振りほどいた長州に再び延髄斬り、そして卍固め。この時もはや長州に猪木必殺のフルコースを振りほどく力は無かった・・・。ガッチリと決まった卍固めがギリギリと全身を締め上げる、それでも長州は「ギブアップ」と言う言葉を発しなかった。「やっと漕ぎ着けた頂上対決、こんな事で終わってたまるか!」そんな、思いを表すかの様に人差し指を立て左右に振る長州。「どうしたらいいんだ・・・」困惑するレフェリーのミスター高橋。ちらりと、本部席の山本小鉄に視線を向けると意を決したかの様にゴングを要請。一瞬静まり返った場内が、大声援に包まれた・・・。

○アントニオ猪木<13分44秒 レフリーストップ>×長州 力

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