「蹴っても蹴っても」尚倒れない、はぐれ狼・上田馬之介が見せた本物のプロレスラーの強さ!(これを見たときゃオイラは泣いたよ!)
キックとサブミッションの荒くれ二挺拳銃
第二次UWF・A
昭和61年2月6日 両国国技館
「挑戦者決定リーグ戦」で前田を破った藤原喜明と新日本総帥 アントニオ・猪木がお互いの「意地」と「面子」をかけてぶつかった。 試合は開始早々から藤原が徹底した関節技主体のレスリングで主導権を握るもいずれも紙一重の差で猪木が決めさせないと言う展開で試合は進んでいく・・。 試合中盤、猪木が反撃のナックルパートを藤原に見舞った! 「反則じゃないか!」 藤原のセコンドに付いていたUWF陣営が身を乗り出して講義をはじめた。試合前から険しい表情を浮けべていた前田の目つきが更に鋭く厳しくなった・・・。 試合の主導権は相変わらず藤原ペースの様に思えたが、猪木は「好きに攻めさせている」と言うような表情を浮かべ、時折「逆だ!逆!わかったかコツがぁ!」と弟子に手ほどきをする様な仕草をとる。猪木一流の精神攻撃だが、これが徐々に仕事師藤原のタイミングを狂わせていく・・・。そして25分過ぎ疑惑の一発が・・・。アームロックにいく藤原に猪木が放ったカンガルーキックが藤原の下半身に命中。藤原は股間を押さえてリングに倒れた。 急所攻撃?!・・・ここでついに前田が切れた!「なんや今のは!反則やないか!」エプロンにあがってレフリーにくってっかる前田・・・。これにはさすがに試合が一旦止まったが、この一端の間が藤原を蘇らせた。 (私的な与太話になるが、ビデオをスローにしてよく見ると太ももの内側に当たってるようにも見える・・・って事は三味線を引いてた可能性もあるような気がしないでもない・・・)蘇生した藤原は得意の一本足頭突きを連打・・・その3発目だった、頭突きに来た藤原の顎に猪木の拳がカウンターで入った!腰から崩れる藤原。ふらふらと立ち上がる藤原の背後から猪木の裸締め・・・28分37秒、藤原が落ちた・・・痛恨のレフリーストップ。猪木の手が上げられたその瞬間!疾風のごとくリングに入った前田のキックが猪木を襲った。それを皮切りに両軍入り乱れての乱闘。遺恨を残して舞台はのっぴきならぬ団体戦へと突入していく・・・。
昭和61年3月26日 東京体育館
総帥猪木とUの代表者藤原とのシングル直接対決は、試合は猪木が完勝したものの最後は両軍入り乱れての大乱闘と言う結果になった。 それを受けてか試合前から殺伐とする「UWF」サイド、それとは対照的に落ち着いた雰囲気で望む「新日本」サイド。団体の威信をかけた「存亡戦」が5対5イリミネーションマッチと言う異例の形式で行われた・・・。
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前田、藤原、木戸、山崎、高田 |
猪木、上田、藤波、木村、星野 |
試合は10人タックマッチ方式で行い、場外に落ちる、またはギブアップかスリーカウントを取られた順に消えていく消去戦。互いの「意地」をかけた一戦は、お互いの「大将」が先発して始まった!
序盤はUWFが前田の勢いそのままに新日勢を上回るタッチワークで翻弄し、10分過ぎには前田の容赦ないキック攻撃で木村をグロッキー寸前まで追い詰め、変わった山崎が駄目押しとばかりに「ジャーマン」「キック」と畳み掛けるが、木村はその猛攻の中で一瞬の隙を捉えての「逆さ押さえ込み」 それが見事に決まり、新日側が先手を取って「山崎一夫」が退場。15分過ぎ今度は藤原が粘る星野勘太郎を「アキレス腱固め」で葬り、4対4のイーブンに持ち込むと続けざまに疲労著しい木村を前田がまたもキック攻勢で攻め立て、ロープ際で棒立ちとなった木村にトドメの「ラウンディング・二ールキック」!これがまともに決まって木村健吾が場外転落!UWFが4対3とその差を逆転した。攻勢に出るUWFが次に狙ったのは2である藤波であった!20分過ぎ藤原が藤波に対して必要なまでの「スリーパー」攻撃に出る、藤波が投げても振っても藤原は決して巻き付けた腕をほどかなっかた・・・。半失神状態となった藤波は無意識にトップロープに腕をかけて投げを打った!しかし藤原はその腕を放さない、藤原はこれを狙っていたのだった!両者の体は放物線を描くようにリング下へと姿を消した!藤波辰巳痛恨の両者リングアウト退場! 残るは猪木と戦力未知数の上田馬之介。対するUWFは、藤原を失ったが、大将前田に木戸、高田と残っている、3対2とは言え戦力的有利は明らかだった・・・。
残るは猪木と上田。この時UWFは勿論の事、観客も「U」の勝利が頭に浮かんだはずである。今までほとんどリングインしていない上田の戦力は未知数だが、最低でも誰かが猪木と心中すれば決着は付くだろう・・・と・・・・。
混乱の中コーナーの上田はセコンドの星野なにやらささやいた・・・。試合前、猪木が「鍵は上田だ!」と言ったとおり、まさにキーマンとなった!猪木のタッチを受けた上田は、前田に対して技を仕掛ける訳でもなく、ただ立ちはだかり一歩ずつ間合いを詰める・・・そんな上田を前田はひたすら蹴るが上田は倒れない!ハイキックにも怯む事無く間合いを詰めていく・・・。蹴っても蹴っても倒れない・・・それどころか確実に間合いを詰めて来る上田馬之助・・・。ならばと、何人もの新日レスラーを葬ってきたニールキックをぶち込んだ!これにはさすがの上田も倒れたが、ゾンビのようにすぐさま起き上がる! ついに前田がジレた!得意のキャプチュードに行こうと上田と密着したその瞬間!上田はすかさず前田の足を取ってステップバック!ロープの間にその身を滑り込ませた!ロープ際で粘る前田を上田は引きずるようにリング下へ落とした!これがプロレスラー・上田馬之介が見せた「前田殺し!」だった。
またまた私的な与太話で恐縮だが、これが猪木の作戦だったとしても、そこへ持ち込むために上田は前田のキックを受け続けた!「蹴っても殴っても倒れない!」この打たれ強さこそ「真のプロレスラーの強さ」なのだ!と、あたしは思う。この映像を見るに付けあたしはつくずく思うが、「前田のキックも一流だがそれを受ける上田も一流」だと・・・。そしてヒールと言うジャンルの中でスタイルこそ違うが上田馬之介も本物レスラーの一人だ!と・・・。
「前田まさかの共倒れ」。これでUサイドに傾いていた流れが一気に逆流となった!2対1とは言え「要」の抜けた動揺はUWFの覇気を根底から揺さぶった!この世界で常にトップであり続け、幾多の「修羅場」を潜り抜けて来た猪木は徐々に高田、木戸を追い詰めていく・・・。我武者羅に前に出る高田の連発攻撃に対して猪木のカウンターでの延髄斬り、駄目押しの延髄斬りで高田のスタミナ切れを見て取るや背後を取ってスリーパーホールド!31分37秒、高田が落ちた!残った木戸も勝負に出るが「時既に遅し!」33分38秒、延髄斬りからの体固めで魔性猪木の軍門に下った・・・。

